内部統制報告書の記載についての注意事項

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内部統制報告書に「決定した事由」記載していますか?

アジサイが咲き始める季節となりました。3月決算会社においては、6月が内部統制報告書の提出時期となりますね。年に一度提出する書類ですが、近年、内部統制報告制度(以下、「J-SOX」といいます。)の改正がなされ、内部統制報告書では従来以上に「実質的な説明」が求められるようになっています。

2023年4月に金融庁企業会計審議会より「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について」が公表され、内部統制報告書の表示については、「内部統制報告書において、記載すべき事項を明示」する改訂(二 主な改訂点とその考え方(2) 財務報告に係る内部統制の評価及び報告③ 財務報告に係る内部統制の報告 参照)がなされました。特に、評価範囲の記載においては、「なぜそのプロセスを評価対象に選定したのか」という「決定した事由」の説明が必要とされています。

J-SOX改訂のポイントではあるのですが、企業側・監査法人側ともに対応にばらつきが見られ、十分に記載されていないケースも散見されます。

金融庁レビューにおけるポイント:「決定した事由」がないまたは不明瞭

2025年3月27日に金融庁より公表された「令和7年度 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項等」では、以下の点が課題として明確に示されました。根拠法令については、<課題となる事項>に記載されています。

「[課題] 内部統制報告書の「財務報告に係る内部統制の評価の範囲」の記載について、改正内部統制府令ガイドラインで定められている事項について「決定した事由」の記載がない又は不明瞭である。」

<課題となる事項>「改正内部統制府令ガイドライン4-4では、「財務報告に係る内部統制の評価の範囲」の記載について、次の事項についても、決定した事由を含めて、併せて記載することに留意する旨が規定されている。
⑴ 会社が複数の事業拠点を有する場合において、財務報告に係る内部統制の評価の対象とする重要な事業拠点を選定する際に利用した指標及びその一定割合
⑵ 当該重要な事業拠点において、財務報告に係る内部統制の評価の対象とする業務プロセスを識別する際に選定した会社の事業目的に大きく関わる勘定科目
⑶ 財務報告に係る内部統制の評価の対象に個別に追加した事業拠点及び業務プロセス」

「決定した事由」の記載例のイメージ

例えば、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に係る業務プロセス以外で、個別に評価対象に追加した評価プロセスとして、退職給付引当金に係る業務プロセスを選定していたとします。
この場合、どのような開示が望ましいのでしょうか?

●法令を満たしていないと考えられる例
「退職給付引当金に係る業務プロセスを個別に評価対象とした。」

当該プロセスを評価対象として、選定している旨の記載では、選定理由(事由)が記載されていないため、記載が足りないと考えられます。

●法令を満たしていると考えられる例

「退職給付引当金の算定にあたっては、割引率、死亡率等の複数の年金数理上の仮定を使用しており、見積りや経営者による予測を伴う重要な勘定科目であるため、評価対象として個別に評価対象とした。」

この例では、個別に評価対象とした理由(決定事由)が記載されています。

最後に

内部統制報告書の作成にあたっては、去年の内部統制報告書からの更新にとどまらず、J-SOX改正の趣旨にも沿った記載の見直し、再確認をおすすめいたします。(弊事務所では、内部統制報告書案のレビュー等を含むJ-SOX対応全般を取り扱っております。弊事務所での取扱業務はこちら


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