サステナビリティ情報開示のトレンド:士業への影響を考える
欧州が先行していたサステナビリティ開示の流れが、いよいよ日本でも本格化します。2026年1月8日に金融庁金融審議会から、「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」報告書が公表されました。当該報告書においては、プライム市場上場企業を対象に時価総額の大きな企業から順次、日本版サステナビリティ開示基準(SSBJ)に基づく有価証券報告書でのサステナビリティ情報開示を義務づけることとされています。
この「サステナビリティ情報開示」の大波は、我々士業のビジネスにどう影響するのでしょうか?今回は私の専門領域である「公認会計士」と「海事代理士」の視点から簡潔に考察します。
公認会計士への影響:保証とコンサルニーズの増加
日本版サステナビリティ開示基準の適用義務化の開始の翌年からは、開示情報の第三者による保証が義務化される予定です。
これにより、以下の業務が増加することが見込まれます。
・法令に基づく保証業務
・GHG(温室効果ガス)排出量算定やデータ収集のための内部統制構築コンサルティング業務
開示情報の信頼性を担保する担い手として公認会計士の活躍の場が広がる一方、非財務分野にも対応できる人材の育成が急務という課題もあります。
海事代理士への影響:サプライチェーン(Scope3)対応による海事手続きの活性化
サステナビリティ情報開示の本質は、開示を通した企業の行動変革です。
サステナビリティ情報開示の義務化は、海運業界に直接的な影響を与えます。株主・投資家を含むステークホルダーへの開示強化により、企業はGHG(温室効果ガス)の削減や脱炭素に向けた取り組みを加速させる必要があります。
海運企業ではすでに、
・自社にとってのScope1・2削減に加え、荷主企業からのScope3削減要請
・新燃料(メタノール・アンモニア等)に対応した造船
・既存船の設備更新
・船隊構成の見直し
といった対応に取り組まれていますが、サステナビリティ情報開示義務化により、さらにこれらの流れが加速化することが予想されます。
結果として、船舶の新造船、中古船の売買、船舶の解撤といった取引が増加します。取引の増加に伴う船舶法、船舶安全法、造船法、船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律等に係る各種許認可手続きなど、海事代理士が取り扱う法律分野へのニーズも確実に増加すると考えられます。(弊事務所での取扱業務はこちら)
このように、サステナビリティ情報開示の義務化は、海運企業の経営判断に直結するため、海事代理士の専門性がより重要になる局面が増加すると考えられます。
今後の展望
サステナビリティ開示は、海運業界と士業の役割を大きく変える転換点です。今後も制度動向を踏まえ、企業の実務を支える専門家として情報発信を続けていきます。(所長の思いはこちら)
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